「資産形成にはNISAがいいって聞いたから」「みんな始めてるから自分も」——
そんなきっかけでスタートした人たちのなかには、思わぬ落とし穴にハマってしまった方も少なくありません
今回は、最近私が実際にご相談を受けた方々の「NISA失敗談」を通して、ありがちな4つの失敗例とその原因、そして“その後どうすればよいか”をお伝えします。
退職金を一括投資 → 相場下落で含み損を抱えた65歳男性
■背景
定年を迎えた直後、「これからはお金にも働いてもらおう」と考え、投資期間のことも考えずに、2,000万円の退職金のうち1,000万円を、NISAで一括投資。
その直後に相場が下落し、大きな含み損を抱えてしまいました。
■原因
- 「ドルコスト平均法」や「分散投資」の基本知識がなかった
- 老後資金であるにもかかわらず、リスク管理が不十分
- 一括投資による“タイミング依存リスク”の見落とし
■対処とアドバイス
老後資金での投資は「減らさないこと」が最優先。
時間をあまり味方にできない年齢層では、一括投資ではなく「分割・分散」が基本です。
また、NISA口座は非課税枠として有効ですが、活用するタイミングと資産の配分設計が重要です。
NISAブームに乗ってスタート → 価格変動に耐えられず狼狽売りした31歳女性
■背景
SNSやYouTubeで「NISAはやった方がいい!」と聞き、周囲の流行に背中を押されて開設。
しかし数ヶ月後に株価が下がり、焦って全て売却。結果、数万円の損失で終わってしまいました。
■原因
- 自分のリスク許容度を理解していなかった
- “一時的な値下がり”を「失敗」と受け止めてしまった
- 長期投資の目的が不明確なままスタート
■対処とアドバイス
NISAの解説コンテンツの多くにはバイアスがかかっており、金融機関は「商品を売る」前提で構成されています。
そして、株価は“上がる日”も“下がる日”もあるのが当たり前。
「15年後くらいにどうなっていたいか」をイメージできていれば、短期的な値動きに振り回されることはありません。
まずは自分の“リスク許容度”を考え、焦らず積み立てていくことが鍵です。
生活防衛資金ゼロで投資 → 急な出費で含み損のまま売却した25歳男性
■背景
「投資しないとお金は増えない」と考え、月5万円をNISAで積立開始。
ところが数ヶ月後に車の修理や医療費が重なり、どうしても現金が必要に。
そのタイミングで含み損を抱えていた投資信託をやむなく売却。
■原因
- 生活防衛資金(最低3ヶ月分の生活費)の未確保
- 「投資は余剰資金で」という原則を無視
- “現金と投資”のバランス設計の欠如
■対処とアドバイス
まずは生活防衛資金として、最低でも3〜6ヶ月分の生活費を現金で確保すること。
それが整って初めて“将来のためのお金”として投資が生きてきます。
焦らず、順序を守ることが資産形成の第一歩です。
よく調べずAIアドバイザーを利用 → 手数料が高く見直すことにした45歳女性
■背景
「初心者でも安心」と書かれていた投資アプリに従い、NISAで月3万円の積立開始。
気がつけば、信託報酬が年1.5%以上の投資信託や、アドバイザー手数料が毎月天引きされていることが判明。
利益が出ても手数料負けする構造に。
■原因
- コストの仕組みや“手数料の複利的影響”を理解していなかった
- 自動化=安心と誤解
- 他の選択肢(インデックス投資など)と比較しなかった
■対処とアドバイス
“手数料は複利の敵”です。
投資信託選びでは、まず「信託報酬0.2%以下」を目安に。
AIアドバイザーやロボアドを使う場合も、手数料体系や運用実績を必ず比較してから判断を。
わからない時は、誰かに相談する勇気も大切です。
まとめ
失敗は誰にでも起こりうること。
むしろ、こうした「つまずき」に気づけたこと自体が、次への第一歩です。
「これって自分のことかも…?」と思った方もご安心ください。
正しい知識と少しのサポートがあれば、資産形成は誰でも立て直すことができます。
資産形成はそれぞれの方のご年齢、状況、目的によって『カスタマイズされた設計』が大切です。
弊社では他の金融商品を一切斡旋しない、中立的なコンサルタントとしてアドバイスをさせていただきます。
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